2011年2月13日日曜日

カメラマンよりご挨拶~俺の家メシ物語 後篇~

好きなワインと美味しいウチご飯に迎えられるという夢のような生活。
これが、続くと思われたのだが……。

そんな事はないと思っていました。
嫁は編集者でしたから、いつか忙しくなる日が来ると。

その日が来てしまったんですね。

創刊誌の立ち上げや複数の本を抱えていた嫁は年々仕事が忙しくなり、毎日、帰宅が深夜。とてもご飯を作っている余裕はありません。

仕方なく、1人でお弁当や総菜を買って食べる日が続きました。
最初は良かったんですが、しばらくすると飽きてきました。
「ご飯」というより「えさ」を食べているような気がして来て、嫌になっちゃいました。
おなかはいっぱいになるんですが、何かが足りない。ワインと合わせてもいまいち…
というか、合わないんです、なんというか、楽しさや満足感のレベルが。

そこで一念発起。
自分で作る事にしたのです。初めて料理の本を開いて。
最初は、嫁が独身時代から持っていたパスタブック。
これが、うまく出来たんです。カルボナーラ。ビギナーズラックというやつですかね。
これが成功体験になって、色々作るようになりました。
パスタはお湯を沸かし始めてからソースの下拵えを始めれば、パスタのゆで上がる時にちょうど合わせる事が出来て、30分位で出来上がり。ワインとも勿論合う! 
慣れて来たら、パスタだけでは物足りなくなり、いわゆる男の料理っぽいですが、肉料理も一緒によく作りました。

そして、最も助けられたのが、上田淳子さんのレシピです。
週末しか作れなくなったけど、相変わらず料理が好きで食いしん坊の嫁は、10年近く先生の料理教室に通い続け、そのレシピが辞書のように貯まっていました。開いてみてその通りにやってみると、春夏秋冬、素材に合わせて、美味しいご飯が出来るではないですか。今日はこのワインに合わせようなどと考えながら作るの、なかなか楽しかったです。
いえ、全然難しくなかったですよ。料理なんか全くやったことなかった私でも。本当に。気に入って何度も作り、レシピを見ずに作れるようになったものも、少しですがあります。

また、原田シェフのパスタブック、サルバトーレさんのパスタとナポリの本(日置さんの写真が今見ても秀逸!)、手塚さんの男のイタリアン、本当にお世話になりました。どの本も、古本屋さんで引き取ってくれないくらいボロボロです。
それからまた、私の楽しいディナーが始まったのです。
一人分というわけにはいかないので、嫁の分も作りましたよ。喜んでくれました。
これぞ、料理の醍醐味ですね。作って楽しい、食べて楽しい、人に喜ばれて、また楽し。
おかげで、少し太ってしまいました。
そんなに時間がかからないとはいえ、仕事から帰って来て作るもんですから、食べるのは11時回ってからでしたからね。

これが、私と料理、との出会いですね。
ワインとの話は、今回あまり触れることが出来ませんでした。またの機会にお話ししたいと思います。

というわけで、ここ十数年の私を形づくり、新たにご飯を作って食べる楽しさを教えてくれた上田レシピを、これからDDCでたくさん紹介します。皆さんに写真を通して少しでもお伝え出来ればと思っています。
(澤崎信孝)

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